10年ほど前にシリコン・バレーのパロアルトにある、タワーレコードで
CDを漁っていた。
クラシックに限らずCDは圧倒的にUSの方がお買い得なので出張の際にはいつも大量に購入する
ラフマニノフ
のピアノ協奏曲は新製品が出ると必ず購入していたのだが、目を引くタイトルのものだった
Ultimate Rachmaninoff !とある。よく見るとマルタ・アルゲリッチがピアノ協奏曲の3番を演奏した
ものだった。現在はチャイコの1番とのカップリングになっている。購入して聞いてみるとこれは すごい演奏で、ライブ盤ならではの切迫した緊張がある。結構、演奏にはキズもあるのだが、細かい演奏ミスなど簡単に吹き飛ばしてしまう
豪快さと激しさを 持ち合わせていた。指揮者はリッカルド・シャイーなのだが、明らかにピアノがオーケストラをコントロールしている。
後日、この演奏がもともとはVHDで発売されたものだと知った。VHDはソニーとパイオニアのLDに対抗して松下やビクターが発売したものだ。知ると、欲しくなる。まず、レコード芸術の求む欄でVHDを手にいれた。約2ヶ月かかった。しかし、プレーヤーがない。
友人、知人、オークション八方手を尽くしとうとう3ヶ月後に知人から手にいれた。
5ヶ月かけて手に入れたVHDとプレーヤ、ラフマニノフの3番を緊張の中でスタートボタンを押した。
やはり、こういうものだろう。最初に、版権を持っているビクターがビデオ化していない時点で気付くべきだった。
VHDはひどいものだった。ここぞというピアノの見せ場では必ずと言っていいくらいオーケストラを写し、オーケストラの見せ場では指揮者をカメラは追っていた。大体がこのすばらしいCDにこれ以上映像を求めること自体、どれほどの意味があったか?
一度だけ見たVHDはプレーヤとともに即座にお蔵入りとなった。